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研究内容紹介

研究の概要

 研究の主要テーマは「骨格筋代謝」である。骨格筋は体内最大の代謝器官であり、運動や摂食、体外環境に応じた代謝変化や、内分泌系、神経系、諸般の生理活性因子による代謝調節、脳・肝臓・脂肪組織など他臓器との相関など興味は尽きない。また、骨格筋代謝は、肥満症、2型糖尿病、動脈硬化症などの「生活習慣病」、「運動不足病」と呼ばれる一連の疾患や、加齢・老化との関連からも広く注目を受けている。学生が研究する具体的なテーマは、学生本人との十分な話し合いの上で決めるようにしている。

 習慣的な運動は、呼吸循環機能や筋力、柔軟性、バランス機能を向上させるのみならず、抗肥満効果、抗糖尿病効果、脂質代謝改善、降圧作用、インスリン感受性改善、心血管系疾患やがん発病率の低下などさまざまな臨床医学的効果を有する。基本的な研究方針は、運動がこれらの作用を惹起するメカニズムを、骨格筋を中心に据えて生化学・生理学的観点から解明すること、そして、これらの効果を効果的に誘導する運動方法を明らかにすることである。前者に関しては、収縮する骨格筋内で活性化されるAMP-activated protein kinaseとその糖・脂質・エネルギー代謝への影響を中心に実験動物や培養細胞を用いた検討を行っている。後者に関しては、骨関節障害や有疾患者などの「運動弱者」にも応用可能な手法(chair exercise形式での座位運動プログラムなど)や、日常生活中の身体活動(階段昇降など)の有用性を検討している。また運動に限らず、食品成分や薬剤、その他の生理的刺激の骨格筋代謝への影響も検討している。

(林 達也)